とある研究会で、登山中の心疾患の発症率を発表できないかと、データを探してみた。

ところが、高齢者の山岳事故が増加しているというのに、"集約された遭難データベースは未だない"のがわかった。
そこで、1,000例程度のデータを集めれば、多少は傾向がわかるのではないかと考えデータを集めてみた。

遭難データの公表に積極的なのは長野県警で、週報・遭対協・県警ニュースの3つから追うことが出来る。
山梨県警や北海道警は季節毎のピックアップであろう。
その他、奥多摩を抱える警視庁や埼玉県警も少数ながら公表している。意外なのは救助隊の歴史の長い富山県警の公表がないことであり少々残念だった。

公表されているとは言っても、週報やシーズン毎であり、一定の期間が過ぎれば消滅してしまうデータがほとんどである。
過去のものは、Internet Archiveや国会図書館が運用するWARPから探し出してきた。

いずれにしても、Web上への公表はインターネットが一般化した近年であり、これから数が多くなるものと期待される。
そうこうして、集めたデータは6000件にのぼった。

問題はデータソースが一ヶ所ではなく長野県警だけでも3ヶ所より引用しているから重複が多い
当初の構想では、一事件一レコードとしようと考えていたが、Wordpressを利用することにより、これはあきらめてしまった。
親記事から子記事へと関連付けできればWordpressでも良さそうだが、Wordpressの"Post TYPE"ではできないようだ。
"カスタム投稿タイプ"なら記事の親子関係の設定ができるようだが、
CSVでいっぺんに投稿してから、ひとつの記事を探し、その親の記事をプルダウンから探すという方法は非常に難しい。
事実上不可能だ。

もう少し簡単に編集できるプラグインができたら考えようと思う。

当初目的の発表の方は中止している。

登山者数の母集団が、あまりに不明なためだ。
各自治体や各県警が推定登山者数というのを発表しているが、あまり信用できる数字ではない。
たとえば、北海道での遭難事故における登山届提出率はわずか25%ほどしかない(スキー遭難が多いためもあるが)。
これから、登山者数を推定するのには無理がある。

遭難データを集めてみたものの目的利用できなくなってしまったが、登山の安全に寄与できるデータベースとして使えればと構築してみることとした。